医院の承継・医療法人

結論:歯科医院の承継は、「誰に・何を・いつ」引き継ぐかを早めに決め、診療所の開設・保険医療機関の指定の手続と、建物・設備・スタッフ・患者さんの情報の引継ぎを、一つの計画として進めることが大切です。 個人開設か医療法人かで、必要な手続が大きく変わります。

よくあるご相談

  • 子どもに医院を継がせたい/勤務医に譲りたい
  • 第三者に医院を譲渡したい、または譲り受けたい
  • 個人開設の医院を医療法人にしたい
  • 医療法人の理事長を交代したい、社員・役員の構成を見直したい
  • 院長が急に病気になった、亡くなった
  • 医院の閉院を考えている

法的な考え方

1.個人開設の医院の承継

個人で開設している診療所は、開設者が変わると、法律上は「前の診療所の廃止」と「新しい診療所の開設」になります。保健所への廃止・開設の届出に加え、地方厚生局への保険医療機関の指定の申請が必要です。指定の時期によっては、保険診療ができない期間が生じないよう、手続の順番と時期の調整が重要です。

建物の賃貸借、医療機器のリース、スタッフの雇用、患者さんの診療録は、自動的には引き継がれません。それぞれ、相手方の同意や新しい契約が必要になります。

2.医療法人の承継

医療法人の場合は、法人が開設者のままなので、理事長や社員・役員の交代によって承継することができます。ただし、医療法人の役員の変更には届出などの手続があり、理事長は原則として医師または歯科医師であることが求められます。

2007年4月以降に設立された医療法人は「持分なし」ですが、それより前に設立された「持分あり」の医療法人では、出資持分の払戻しや相続が問題になることがあります。

3.個人開設から医療法人へ

医療法人を設立するには、都道府県知事の認可が必要です。認可の申請の受付時期が限られている都道府県もあるため、計画は早めに立てる必要があります。設立後は、個人の診療所を廃止して法人の診療所を開設する手続と、保険医療機関の指定の手続が必要になります。

4.譲渡の契約

第三者への譲渡では、譲渡の対象(設備・内装・患者さんの情報・スタッフの雇用など)、譲渡代金、引継ぎ期間、競業の制限、譲渡後に問題が見つかったときの責任などを、契約書で明確にします。患者さんの情報の引継ぎには、個人情報保護法への配慮が必要です。

当事務所でできること

  • 承継の方法(親族・勤務医・第三者)と手続の順番の整理
  • 譲渡契約書、賃貸借・リースの承継の合意書の作成と確認
  • 医療法人の定款・社員総会・役員の変更に関する助言
  • スタッフの雇用の引継ぎ、患者さんへの周知の方法の助言
  • 税理士・行政書士・金融機関との連携

小畑真は、歯科医院の患者トラブルから医院承継までを扱う講演を行っています。

よくある質問

Q.医院を譲り受けたら、前の院長の時代の患者トラブルの責任も引き継ぎますか?

A.個人開設の医院の譲渡では、原則として、前の院長の診療についての責任は前の院長に残ります。ただし、契約の内容によって変わるため、譲渡契約で責任の範囲を決めておくことが大切です。

Q.承継の準備は、いつから始めればよいですか?

A.相手が決まっていなくても、引退の数年前から、医院の契約関係(賃貸借・リース・雇用)と、医療法人であれば定款や社員の構成を確認しておくことをおすすめします。


執筆:小畑 真(弁護士・歯科医師、弁護士法人 小畑法律事務所 代表)

※ このページは一般的な考え方の説明です。実際の対応は、個別の事情によって異なります。

平日 9:30~12:00 13:00~17:30

ご相談お問い合わせフォーム
講演・執筆・取材依頼フォーム

札幌 011-206-7618  東京 03-5577-7544

歯科医院限定メンバーシップ(Dental Legal Consultation)
Voicy「弁護士×歯科医師 小畑真の法律クリニック」