

問題のあるスタッフを、歯科医院は解雇できますか?
結論
解雇はできますが、「客観的に合理的な理由」があり、「社会通念上相当」でなければ無効になります。小さな医院でも同じです。 ミスや勤務態度を理由にする場合は、注意・指導をし、その記録を残し、改善の機会を与えたうえで判断する必要があります。いきなりの解雇は、無効とされて、解雇後の給与の支払いを命じられるおそれがあります。解雇の前に、配置転換などの手を尽くすことと、話し合いによる退職(退職勧奨)を考えることが大切です。
根拠
- 解雇の制限:解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、無効になります(労働契約法16条)。
- 解雇の予告:解雇するときは、少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う必要があります(労働基準法20条)。
- 解雇できない時期:業務上のけがや病気で休業している期間と、その後30日間、産前産後の休業期間と、その後30日間は、原則として解雇できません(労働基準法19条)。妊娠・出産などを理由とする解雇は禁止されています(男女雇用機会均等法9条)。
- 懲戒解雇:懲戒として解雇するには、就業規則に懲戒の理由と種類が定められている必要があります(最高裁平成15年10月10日判決、労働契約法15条)。
- 理由の証明:スタッフから求められたら、解雇の理由を書いた証明書を渡さなければなりません(労働基準法22条)。
解雇の前にすべきこと
- 問題を具体的に記録する:日時、内容、患者さんや他のスタッフへの影響を記録します。
- 注意・指導をする:何が問題で、どう改めてほしいかを伝えます。口頭だけでなく、書面でも伝えておきます。
- 改善の機会を与える:配置や担当の変更、期限を決めた改善の目標など、改善のための手を尽くします。本人の言い分を聞く機会も設けます。注意・指導の言い方が、パワハラと受け取られないようにも気をつけます。
- 就業規則を確認する:解雇・懲戒の定めがあるか、手続が決まっているかを確認します。
その他の注意
- 無断欠勤が続いて連絡が取れない場合は、手続を進める前に、まず本人の安否を確かめます(身元保証人やご家族に連絡するなど)。
- 経営の悪化を理由にする解雇(整理解雇)は、人員削減の必要性、解雇を避ける努力、対象者の選び方、説明・協議の手続という4つの点から、さらに厳しく判断されます。
退職勧奨という方法
- 解雇ではなく、話し合いで退職に合意してもらう方法(退職勧奨)もあります。退職の時期、有給休暇の消化、解決金などを話し合い、合意できたら書面にします。
- 退職金の上乗せなどの条件を示すと、合意に至りやすくなります。
- ただし、「退職しなければ解雇する」と告げる、断られたのに何度も呼び出して説得する、大声で迫るなど、退職を強要したと受け取られる方法は違法になることがあります。はっきり断られたら、それ以上の勧奨は控えます。
- 話し合いの内容は、メモや録音で記録しておきます。
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執筆:小畑 真(弁護士・歯科医師、弁護士法人 小畑法律事務所 代表)
※ このページは一般的な考え方の説明です。実際の対応は、個別の事情によって異なります。








